1. 先週のおさらい
ドル円は156.6円と高止まりし、157円台を試す展開が見られました。日本では財政懸念と金利上昇が意識され、円安が進行する一方で、政府・日銀による円買い介入の思惑が市場に影響を与えています。
米国では政府機関が再開し、延期されていた重要指標（雇用統計やPMI）が発表され、景気の底堅さが確認されました。FOMC議事録ではインフレリスクへの警戒が続く内容となり、利下げ期待がやや後退しています。
市場では日本の財政運営に関する議論が増え、一部で「日本版トラスショック」に対する懸念も取り沙汰されました。投資家心理はやや慎重な状況が続いています。
2. 今週の流動性とテーマ
今週は米国が感謝祭ウィーク（27〜28日）に入るため、市場参加者が減少し、値動きが軽くなる期間です。流動性が低下し、突発的なスパイクが起きやすくなる点に注意が必要です。
重要イベントは25日（火）の米PPI・小売売上高（9月分）と26日（水）のPCEデフレーターです。特にPCEはFRBが最も重視するインフレ指標であり、今後の利下げ時期を占うカギとなります。
さらに26日のRBNZ（NZ政策金利）も重要で、タカ派姿勢維持ならNZDが上昇し、クロス円にも波及する可能性があります。
157円台を突破した場合には政府・日銀の介入思惑が強まり、相場が神経質となることが想定されます。
3. 通貨・資産別の注目ポイント
【ドル円（USD/JPY）】
上方向要因は米インフレ再燃、金利上昇、米指標の強い結果です。
下方向要因は介入警戒、感謝祭による流動性低下、利食い売りの増加です。
介入報道や要人発言で数十pips動く可能性があり、ポジション管理に注意が必要です。
【ユーロドル（EUR/USD）】
感謝祭入りで方向感が出にくく、1.07〜1.09のレンジ想定。米指標が強ければドル高優勢。
【ゴールド（XAUUSD）】
米金利に強く連動する週です。PCEが強ければ下落、弱ければ再び上昇しやすい構造です。感謝祭前のポジション整理も出やすく、短期での上下に注意。
【株式市場】
米長期金利上昇が重荷となりやすいものの、金利上昇が景気改善のシグナルと解釈されれば株高と共存する展開もあり得ます。
4. 日別スケジュールと想定インパクト
■ 11月24日（月）
日本休場（勤労感謝の日）
米指標は小粒、ニュース主導の一日。
■ 11月25日（火）
米：PPI（9月分）
米：小売売上高（9月分）
米：消費者信頼感指数
→ インフレ再燃ならドル高・金利上昇。
■ 11月26日（水）
豪：CPI
NZ：RBNZ政策金利＆総裁会見
米：新規失業保険／耐久財受注／個人所得・PCEデフレーター（延期可能性あり）
→ 最重要イベント日。
■ 11月27日（木）
米国：感謝祭（市場休場）
日：野口日銀審議委員発言
欧：ECB議事要旨
→ 流動性極端に低下、スパイク注意。
■ 11月28日（金）
米国：ブラックフライデー（短縮取引）
日：東京都区部CPI
→ 月末フロー＋薄商いで乱高下リスク。
5. 先週の要旨
・米景気は底堅く、雇用統計・PMIが改善。
・FOMC議事録ではインフレ警戒が続き、利下げ期待が後退。
・日本では財政懸念が意識され、金利高・株高・円安の動きが同時進行。
・市場では日本財政への不安視も浮上し、慎重な投資姿勢が広がった。
6. トレード指針（初心者向け）
【基本方針】
・イベントは25〜26日に集中。ここに照準を合わせる。
・感謝祭期間は参加者が減り、突発的な乱高下に注意。
・157円突破時の介入リスクを常に意識。
【具体アクション】
・ドル円は155.5〜157.5円のレンジ想定。イベント前はポジション軽め。
→ ロングは短期回転で。
・ゴールドはPCE弱→買い、PCE強→売りの短期判断。
・ユーロドルは米指標でのドル方向を見てから判断。
・木〜金の感謝祭後はノートレの選択も適切。
【リスク管理】
・ストップロスは必ず設定。
・イベント直前・直後の30分はエントリーを控える。
・「取らない勇気」を持つことが、結果的に収益を守る。
今週の結論
今週は感謝祭ウィークで薄商いとなる一方、25〜26日に重要指標が集中する特殊な週です。157円付近は介入警戒が強く、無理に追随するのは危険です。イベント後の二段目の動きに着目し、ポジションは軽めで慎重な対応が求められます。
学びポイント：「薄商い相場の注意点」
市場参加者が減ると、通常では起きない価格飛びや急反転が発生しやすくなります。薄商い＝静かな相場ではなく、むしろ「軽い力で価格が大きく動く相場」と理解することが大切です。初心者ほど無理をせず、イベント前後の行動を明確に区切ることが安定したトレードにつながります。
