1. 先週のおさらい
先週のドル円は151円前後で推移。高市早苗総裁誕生を受けた「積極財政・成長投資」への期待が続き、円安基調が継続しています。市場では21日(火)の臨時国会での首班指名に注目が集まっており、自民党と維新の連立観測が政策への期待を高めています。減税や規制改革といった方針が明確になれば、日本株と円のセンチメントに影響を与えるでしょう。
一方でFRBはブラックアウト期間に入り、金融政策に関する新たな発言が出にくい状況です。したがって、週末24日の米CPI・PMI速報が最大の注目イベントとなります。また、米主要企業(Netflix、Teslaなど)の決算を経由した株・金利の波及も警戒ポイントです。
2. 今週の流動性と全体戦略
今週は「データ薄+要人発言なし」の環境で、相場は政治・決算・金利を中心に動くと想定されます。ドル円は151〜152円台に当局けん制が意識されるゾーンが存在し、上抜けを狙う動きは短期限定が安全です。方向感が出にくいため、ブレイク後の押し・戻りを狙う二段構えの戦略が有効です。
3. 通貨別の注目ポイント
ドル円(USD/JPY)
上方向のドライバー:
- 日本の政策期待(連立や財政出動含む)
- 米株の堅調→米長期金利高止まり
- 24日のCPIが強めの結果
下方向のリスク:
- 当局のけん制(口先介入含む)
- 米CPIが弱めで金利低下
- 米企業決算の失望でリスクオフ
戦術メモ:
- 注目水準:150.50/151.50/152.00円近辺
- 逆指値は浅めに、利確は分割で。
- ヘッドライン直後の成行は避け、数分遅れの“二段目”狙いが安全。
ユーロドル(EUR/USD)
24日のPMI速報が焦点。欧州の景況感が悪化すればユーロ売り優勢、強ければ反発の余地。米CPIが弱ければドル安でユーロ上昇のシナリオも。レンジは1.06〜1.08を想定。
4. 今週の注目テーマ
金融政策発表:主要国の発表はなし。来週に日米欧の金融政策会合を控えています。
FRB発言:ブラックアウト期間中で新たな材料は出にくい。
日本政治:21日の首班指名を通じ、与党体制や政策メッセージが焦点。市場センチメントに直結。
米主要決算:Netflix(21日)・Tesla(22日)。テック株主導でリスク選好に変化が出れば、金利とドルに波及。
商品市況:原油・金は金利動向とリスクムードに連動。金利低下で金は上昇、金利上昇で軟化の基本線。
5. 日別スケジュールと想定インパクト
- 10/20(月):日)高田・日銀審議委員発言(基調物価・円安評価に注目)/米指標なし → ヘッドライン主導の値動き。
- 10/21(火):首相指名選挙/加)CPI/Netflix決算 → 政策トーン次第で円のセンチメント変化。
- 10/22(水):英)CPI/Tesla決算 → テック株の動きが金利・ドルに波及。
- 10/23(木):米)新規失業保険(延期の可能性)→ 材料薄ならテクニカル主導。
- 10/24(金):日)全国CPI/独・欧・英)PMI速報/米)CPI+PMI速報 → 週最大イベント。強ければドル高再加速、弱ければ巻き戻し。
6. 実務的アドバイス(初心者向け)
- 151〜152円は警戒ゾーン:追随せず、ブレイク確認→押し/戻りで参入。流動性の厚いタイミングを狙う。
- 決算→株→金利→為替の順に波及:米10年債利回りの方向を常に確認。
- 週末イベント前のリスク調整:24日(金)のCPI・PMIに備え、それまではサイズを控えめに、ストップ浅め・利確分割で対応。
✅ 今週の結論
今週は要人発言が少なく、政治・決算・金利主導の相場となる見通しです。ドル円は151円台で当局けん制が意識される局面。突破でも失速でもボラティリティが高まりやすく、短期トレードに徹することが重要です。特に24日の米CPI・PMIは相場の方向を決定づける可能性が高く、週後半の急変動に備えましょう。
💡 学びポイント:「ブラックアウト期間とは?」
ブラックアウト期間とは、FOMC(米連邦公開市場委員会)前の約10日間、FRBメンバーが金融政策に関する発言を控える期間を指します。この間、市場は政策発言によるガイダンスを失い、ニュース・金利・株式など他の要因で動きやすくなります。初心者の方は「発言がない=静かな相場」ではなく、「情報が減る=不確実性が高まる」期間であることを理解しておくと良いでしょう。