1. 先週のおさらい
先週は高市早苗総裁の誕生を受け、「積極財政・金融緩和寄り」への政策期待が高まり、円安が進行しました。ドル円は152円目前まで上昇。150〜153円のレンジはオプションや警戒感が集中し、ニュースヘッドライン一つで相場が大きく動く不安定なゾーンです。
さらに、米政府機関の一部閉鎖によって主要経済指標が延期され、「データよりも要人発言・株・金利」に反応しやすい環境が続いています。いわゆる“データ空白相場”が継続中です。
2. 今週の流動性と全体戦略
今週は「要人発言・企業決算・金利」がメインテーマです。東京市場は13日(月)が祝日で薄商いからスタート。流動性が低い状態での海外勢による急な値動き(スパイク)に注意が必要です。
米主要銀行の決算が始まり、株式市場と金利を通じてドルの方向性に影響を与える可能性があります。したがって、今週は経済指標よりもニュース・金利・決算ヘッドラインを重視した相場観が求められます。
3. 通貨別の注目ポイント
ドル円(USD/JPY)
上方向のポイント:
- 米長期金利の高止まり
- パウエル議長(14日)のタカ派発言
- 米金融株の好決算によるリスクオン継続
下方向のポイント:
- 政府・日銀の口先介入
- 米政府閉鎖長期化によるリスクオフ
- 米企業決算の失望
戦術メモ:
- 150.0/151.0/152.5円は反応点になりやすい。
- 要人発言直後の成行は避け、数分後の二段目の動きを狙う。
- 小ロット・ストップ浅め・分割利確で対応。
ユーロドル(EUR/USD)
米データ空白により欧州主導の時間帯が増加する週。欧州側に目立った材料がなければ1.06〜1.08のレンジ内往来を想定。米金融株決算でリスクオンが進むと、ドル高・ユーロ安方向に傾きやすい構図です。
4. 今週の注目テーマ
米経済指標(延期多数)
CPIは24日に延期。PPIや小売売上高も延期の可能性が高く、今週は“データ待ち”よりも金利・要人発言が中心となります。
FRB関連発言
14日(火)パウエル議長が経済見通しと金融政策について発言予定。週末18日からブラックアウト期間に入るため、今週がその前哨戦です。
日銀関連
16日(木)田村審議委員、17日(金)内田副総裁が発言予定。円安・物価・賃金の評価が注目点。
米企業決算(金融セクター開幕)
JPモルガン、シティ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、バンカメなど主要金融株の決算が集中。株式市場の動きがドル円に波及しやすい週です。
政治・地政学リスク
米中通商・トランプ前大統領関連のニュースは、一発で株・金利・為替を同時に動かす可能性があるため要注意です。
5. 主要イベント一覧
- 10/13(月):日本休場(日経先物OP取引あり)/米市場は通常営業。米指標は小粒。
- 10/14(火):RBA議事録(豪)/英・雇用統計/パウエルFRB議長発言/米銀決算スタート。
- 10/15(水):ASML決算/モルガン・スタンレー決算(米CPIは24日に延期)。
- 10/16(木):TSMC決算/豪・雇用統計/田村日銀審議委員発言/米小売・PPIは延期の可能性。
- 10/17(金):内田日銀副総裁発言。米指標は小粒。
6. 実務的アドバイス(初心者向け)
- ニュース主導週:要人発言・決算ヘッドラインを最優先。発言予定時間はカレンダーで確認。
- 150〜153円ゾーンは警戒:追随よりも「ブレイク後の押し/戻り」で小刻み対応。
- 決算→金利→為替の連動:米10年債利回りの方向を常にチェック。
- ポジション管理:高ボラ週のため、サイズを落とし分割エントリー・分割利確を徹底。
✅ 今週の結論
今週は「データ空白の中で、要人発言と決算が主導する相場」です。ドル円は152円台を視野に入れつつも、当局発言や株価動向で上下に振れやすい不安定な地合い。ニュース中心のトレード環境であるため、“情報の速さとリスク管理”が成果を分ける週といえます。
💡 学びポイント:「データ空白相場」とは?
通常、為替市場は経済指標に反応して動きますが、今回のように指標が延期されると、相場はニュースや市場心理(センチメント)によって動く傾向が強まります。テクニカルが効きづらく、ランダムに見える値動きが増えるのが特徴です。初心者の方は「材料がない=静かな相場」ではなく、「ニュース一発で動く=リスクが高い」と理解しておくことが重要です。