1. 先週のおさらい
ドル円は152円後半で推移。高市政権の政策期待(積極財政・成長投資)に加え、米中貿易緊張の緩和ムードが円安を支えました。日経平均は史上初の5万円台を突破し、国内外で強いリスク選好が継続しています。
今週は、日米首脳・米中首脳会談、GAFAM決算、日米欧の金融政策会合が重なる「イベントウィーク」です。好材料が重なる一方で、イベント通過後の伸び悩みリスクにも注意が必要です。
2. 今週の流動性と全体戦略
今週は「中央銀行ウィーク」と「ビッグテック決算」が同時進行する、重要イベントが集中する週です。加えて、月末要因によるリバランスや手仕舞いフローも発生する可能性があり、テクニカルを無視した値動きが起きやすい環境です。
151〜153円は当局けん制が強く意識されるゾーン。上抜けを狙うトレードは短期に限定し、“二段目(押し/戻り)”を狙う戦略が安全です。
3. ドル円(USD/JPY)— 153円手前の攻防
上方向シナリオ:
- FOMC(29日)がタカ派寄り、パウエル議長がインフレ警戒を継続
- GAFAM好決算→米金利高止まり→リスクオン継続
- 日銀が慎重姿勢を維持(利上げ先送り)
→ 153円台トライの可能性。ブレイクは短期狙いにとどめ、押し目形成を待つのが安全。
下方向シナリオ:
- FOMCまたは米指標(発表あれば)で金利低下
- 決算や会談で失望感→リスクオフ
- 当局けん制(口先含む)
→ 152円前後までの反落。149〜151円台は押し目買いと戻り売りが交錯。
戦術:
- イベント直後の成行は避け、数分〜数十分遅れの“二段目”を狙う。
- 指値浅め・利確分割・ポジションサイズ小さめで柔軟に対応。
4. ユーロドル(EUR/USD)
ECB(30日)が注目。ユーロ圏のインフレ鈍化を強調するトーンならユーロは上値重くなるが、FOMCがハト寄りであれば相殺される可能性も。レンジは1.06〜1.08を想定し、中央銀行イベントでのレンジ拡大に備える。
5. 日別カレンダーと想定インパクト
- 10/27(月):日米財務相会談/米指標なし → 円のヘッドラインリスク。
- 10/28(火):日米首脳会談/米・消費者信頼感 → 投資・関税・防衛協力などの発言に反応。
- 10/29(水):RBA・豪CPI/カナダ中銀会合/FOMC&パウエル会見/MSFT・GOOGL・META決算 → 週のヤマ場その1。
- 10/30(木):米中首脳会談/日銀・ECB(会見付)/AAPL・AMZN決算 → 週のヤマ場その2。
- 10/31(金):月末最終日/日・東京都区部CPI/米・PCE(発表未定) → 月末フロー主導の乱高下に警戒。
6. 株・商品・金利の見取り図
米株:好決算が続けばリスクオン継続。失望決算なら金利低下→ドル軟化も。
原油:地政学リスクと在庫データ次第で上下。リスクオンなら底堅く、景気減速見通しで上値重い。
金(XAUUSD):FOMCがハト寄り/PCE未発表なら下支え。タカ寄りなら短期反落リスク。
米長期金利:決算・外交見出しで方向転換しやすく、為替と連動しやすい週。
7. 実務的アドバイス(初心者向け)
- イベント前後30〜60分は静観:初動はノイズが多く、落ち着いた“二段目”で判断。
- 月末フローはテクニカルが効きづらい:逆指値は浅め、利確は分割で。
- ニュース優先:米政府閉鎖で指標が出ない可能性があるため、要人発言・会見内容を最優先に。
- ドル円153円攻防は高警戒ゾーン:ブレイク追随は短期限定、押し・戻りで慎重対応。
✅ 今週の結論
今週は「中央銀行+ビッグテック決算+首脳会談+月末フロー」が重なる高ボラティリティ週です。ドル円は153円台目前で神経質な値動きが続く見通し。短期では急騰・急落の両方に備える必要があります。特に週中〜週末にかけてのイベント集中を踏まえ、スピードよりもリスク管理重視の姿勢を維持しましょう。
💡 学びポイント:「イベントウィークのトレード心得」
複数の重要イベントが重なる週は、初動の値動きが持続しにくい傾向があります。理由は、市場参加者が結果を消化しながらポジションを巻き戻すためです。初心者の方は“イベント直後に飛び乗る”よりも、“方向が定まった後の押し・戻りを待つ”意識を持つと、リスクを抑えたトレードがしやすくなります。

