2025年10月、円相場が一時1ドル=152円台を記録し、金(ゴールド)も史上初の1オンス=4000ドルに到達しました。円安と金高が同時に進む今、その背景と家計・投資への影響をやさしく解説します。
円安が進行、1ドル=152円台に
日本時間の未明、為替市場で円相場が一時1ドル=152円台まで下落しました。
わずか数日で4円以上の円安が進み、先週末の147円台から大きく動いた形です。ユーロ円も177円台まで下落し、史上最安値を更新しました。
この半年ほどは「ユーロ>ドル>円」という構図が続いており、世界的なドル離れが進む中でも、円の弱さが際立っています。
2つの主因:金融政策と財政拡張
今回の急速な円安には、主に次の2つの要因があります。
① 日銀の低金利継続観測
新総裁の就任後も、日銀が低金利政策を続けるとの見方が強まっています。
他国との金利差が広がると、利回りを求めて「円を売ってドルを買う」動きが起こりやすくなります。これが円売り・ドル買いを後押ししました。
② 財政拡張による円の信認低下
新政権が大規模な財政支出を打ち出すことで、「日本の財政は大丈夫か」という不安が台頭しています。
国債増発などで財政リスクが意識されると、通貨としての円への信頼(信認)が揺らぎ、円安を助長する要因になります。
金(ゴールド)史上初の4000ドル突破
一方で、金相場も大きく動いています。
史上初めて1オンス=4000ドルを突破しました。背景には複数の要因が重なっています。
米国の利下げ期待:金は利息を生まない資産のため、金利が下がる局面では相対的な魅力が高まります。
ドル離れの流れ:トランプ政権による関税政策などを受け、各国の中央銀行が準備資産として金を増やしています。
安全資産としての需要:地政学的リスクや経済の不確実性が高まる中、「金に逃避する」動きが強まっています。
円安も重なり、日本では金価格が1gあたり2万1000円を超え、10年前の約4倍、20年前の10倍以上に上昇しています。
円安と金高、日本の個人資産への影響
円安は一見すると悪いニュースのように思われがちですが、見方を変えるとチャンスでもあります。
海外資産(S&P500やオルカンなど)を持つ投資家にとっては、円換算で資産価値が上がるため、資産拡大の追い風になります。
一方で、輸入品価格の上昇を通じて生活コストが上がるリスクもあります。
つまり、円安は「資産を持つ人」と「現金を持つ人」で影響が分かれる局面を生み出しています。
まとめ:円安時代の資産防衛を考える
円安と金高の同時進行は、世界経済の構造変化を映し出しています。
金や外貨資産を組み合わせた「分散投資」が、今後の資産防衛のカギとなるでしょう。
短期的な為替変動に一喜一憂せず、長期的な視点で「円だけに依存しない資産づくり」を考えることが、これからの時代に求められます。